これは私が若かりし頃、立命館大学の門戸をくぐって2年目の春のことだ。 清貧にして廉潔たる我が身をもって貴しとし、内面はマントルが如き情熱を煮え切らせながら、私はただ一人祈りの荒野を歩んでいた。 歩みすぎて挫け、疲れた先に立ち寄った酒場で、駆け…
「色盲ってあるでしょう?その逆で、異常色覚というものがあって…実を言うと、僕がそうなんですがね…」 大郷は唐突に、話を始めた。 「常人じゃ判別できない…というと語弊があります。色覚に異常を持つ者だけが判別できる色があると言った方が、まだ座りがい…
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